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初めて熱中症になって分かったこと|東京表参道鍼灸
東京の表参道鍼灸マッサージ治療室自然なからだのブログ
表参道鍼灸マッサージ治療室自然なからだ 院長の手塚です。
先日、生まれて初めて熱中症になりました。
医療人として「熱中症には気を付けてね」と注意喚起しなければいけない立場なのにお恥ずかしいのですが、熱中症になって分かったことが多々あったので、体験記とセルフケアの方法をまとめます。
私は前日から風邪をひいていて、吐き気と頭痛がしていました。
当日は少し調子も良くなっていたので、職場に電車で向かったのですが、途中で吐き気がしてきて、「これは吐けば楽になるかな」と思い、次の駅で電車を降りることにしました。
吐くのを我慢しながら、やっと駅に着いて、電車を降りると、一気にめまいがしてきて、立っていられなくなり、近くのベンチに座りこみました。
すると意識が遠のいてきて、目もうすくしか開けられません。
手も足も動かせなくなり、話すこともできず、冷や汗がダラダラと・・・。
助けを求めようにも、声も出ず、もうどうすることもできないので、「まずは目をつむろう」と思って目を閉じました。
10~15分ぐらい寝たのでしょうか。少ししたら目が覚めました。
手を動かしてみると、少し動いたので、ゆっくりと身体を動かし、車掌さんの部屋へたどり着き、
「体調が悪いので、少し休ませてもらえないでしょうか?」 「ベッドが既に使っている人がいるので、パイプ椅子で良ければ・・・」
体調不良の人が他にもいるようで、車掌室の端にパイプ椅子を出してもらい、そこで休ませてもらいました。
朝一から患者さんの予約が入っていたので、身体の力を振り絞って携帯を取り出し、治療室へ電話。
「ごめん、朝一の患者さんの予約までに行けそうにないから、連絡とってもらえないかな・・・」とスタッフ伝え、予約をキャンセルしてもらいました。(当日キャンセルしてしまったYさん、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした)
30分ほど車掌室で休んだのち、動けるようになったので、治療室に向かいました。とりあえず近くの内科で検査してもらい、「大丈夫でしょう」とのことだったので、午後は通常の診療を行いました。
病院でのガイドラインでは、熱中症の分類を以下のように定めているそうです。
・Ⅰ度:立ちくらみ、筋肉痛、こむら返り、大量の発汗 ・Ⅱ度:頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感、集中力判断力の低下 ・Ⅲ度:意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温
私は・・・Ⅲ度ですよね・・・(汗)
今回驚いたのは、全く喉の渇きを感じなかったことです。
喉が渇いているのを我慢しすぎて熱中症になるのかと思っていたのですが、私の場合、全く喉の渇きを感じませんでした。
よくお年寄りは喉の渇きを感じないことがあると言われていますが、私の場合は風邪で体調を崩していたから体温調節がうまくいかなかったのでしょう。
お年寄りじゃなくても喉が渇かないことがあるんだなと実感しました。もし庭とかで倒れたら、本当に命の危険もあるなと思うと背筋が凍ります。
なんとなく「駅で倒れたら恥ずかしい・・・」という気持ちがよぎって、ちゃんとベンチに座ってしまったのですが、身の危険を感じたら、倒れてしまった方が良いですね。
多分駅で座っている私は、ただベンチで寝ているサラリーマンと思われて、だれも声をかけてくれないと思います。(実際には、座ってから、「これはまずい」と思って倒れようとした時には、もう手足が動かなかったんです・・・)
今回意識が戻ったから良かったですが、意識が戻らなかったらと思うと、本当に怖くなりました。
NHKの番組で、「台風が来た時に気温が下がって、その後また急に暑くなった時が危険です」と言っていました。
それまで35℃などの猛暑に耐えていた身体が、台風の影響で気温が下がると、暑さへの耐性がリセットされてしまいます。
その後にまた暑い日が来ると、身体が暑さに耐えられなくなり、熱中症などになりやすくなるそうです。
まさに私は台風の2日後に熱中症になったので、これだなと納得しました。
熱中症になった日は、なんとか残りの治療をこなしたのですが、なんとなく身体が重く、足のこむら返りになりそうな感覚が続きました。
たぶんまだ後遺症的なものが残っていたのですね。
その後数日、同じような状態が続きました。
そんな時に、やっておいた方が良いセルフケアを考えてみました。
身体の中に溜まった熱を鎮め、身体を早く回復させてくれるセルフケアです。
(※鍼灸の専門家の方向けには、ページの最後に東洋医学的考え方と治療法も載せておきます)
・お腹を上から下へさする
みぞおちの辺りから、おへその下ぐらいまで、左右の手で交互に、上から下へ15~30秒ぐらい撫で下ろす。
・三陰交(さんいんこう)を押す
内踝(うちくるぶし)の上に手のひらを横に置いて、人差し指から小指までの長さ分上に上がったところで、骨のキワを押すと、痛みのあるところがあります。そこが三陰交(図の赤点の所)です。
ここを左右10回ずつ押して下さい。もしお灸を持っている方は、お灸をしても効果的です。
日本の夏は、近年異常な暑さになります。さらに8月から9月にかけては台風が多く日本にやってきます。
寒暖差も激しくなると思います。
暑さへの耐性がリセットされて、熱中症になりやすくなるのです。
今回、まさか自分が熱中症になるなんて思ってもみなかったので、びっくりです。
最近は屋外だけでなく屋内での熱中症が増えているそうです。喉の渇きを感じていないくても、水分補給はこまめにして、熱中症には充分気を付けて下さい。
今回のセルフケアは熱中症になった後にやるように考えましたが、熱中症予防にも効果的です。ぜひ毎日やってみて下さい!
今回せっかく熱中症になったので(笑)、治療法を調べてみました。江戸時代に書かれた『鍼灸要法指南』(岩田利斎著,1686年)に書かれていることを意訳してまとめると以下のようになります。 ーーー 中暑 暑さが人に害を与える時は、まず手の少陰心経と足の太陰脾経に入ってくる。 症状:身熱して、頭痛、口が乾き、顔は垢づき、嘔吐したり、下痢をしたり、手足は冷えもだえて、気を失う 随伴症状: 肝に入るとめまいがして、筋がひきつったり痺れたりする 脾に入ると昏睡して気を失う 肺に入ると喘満する 腎に入ると消渇する これらは気虚がベースの時は瀉してはいけない 治療穴:巨闕(CV14)、上脘(CV13)、中脘(CV12)、天枢(ST25)、三陰交(SP6) ーーー
『鍼法奇貨』(渡辺東伯著,1679年)では、「巨闕、上脘・中脘・天枢に鍼をして、心を涼しくして、身を温めることが重要だ」と書いています。
他の古典文献を見ても、似たような考え方で治療法が考えられており、心と脾胃を調整するのが目的の選穴と考えることができます。
東洋医学的には夏の暑さによる症状は脾胃が弱ることが大きな原因の一つであり、暑邪は心を犯します。
私が熱中症で動けなくなる前に巨闕~中脘あたりがモヤモヤ気持ち悪かったこと、そして、熱中症の後に三陰交から築賓あたりがつりそうになった事が何度もあったことを考えると、ぜひ試してみたい選穴です。
ただし、『鍼法奇貨』では「胸中発熱するものには、上脘に刺して吐瀉すべし」と書かかれており、上脘に治療する場合は吐法、瀉法に働く可能性もあるので患者さんの様子をみながら治療して下さい。
個人的な経験では、熱中症で倒れた人の治療を以前した時には、湧泉も効果がありました。
その時は鍼も灸も持っていなかったので、指圧をしたのですが、脈も落ち着き、意識がはっきりしてきました。
上記古典の治療法に合わせて、湧泉の治療も効果があると思いますので、ぜひ試してみて下さい。
22/06/24
22/02/07
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東京の表参道鍼灸マッサージ治療室自然なからだのブログ
表参道鍼灸マッサージ治療室自然なからだ 院長の手塚です。
先日、生まれて初めて熱中症になりました。
医療人として「熱中症には気を付けてね」と注意喚起しなければいけない立場なのにお恥ずかしいのですが、熱中症になって分かったことが多々あったので、体験記とセルフケアの方法をまとめます。
熱中症の症状は怖い
私は前日から風邪をひいていて、吐き気と頭痛がしていました。
当日は少し調子も良くなっていたので、職場に電車で向かったのですが、途中で吐き気がしてきて、「これは吐けば楽になるかな」と思い、次の駅で電車を降りることにしました。
吐くのを我慢しながら、やっと駅に着いて、電車を降りると、一気にめまいがしてきて、立っていられなくなり、近くのベンチに座りこみました。
すると意識が遠のいてきて、目もうすくしか開けられません。
手も足も動かせなくなり、話すこともできず、冷や汗がダラダラと・・・。
助けを求めようにも、声も出ず、もうどうすることもできないので、「まずは目をつむろう」と思って目を閉じました。
10~15分ぐらい寝たのでしょうか。少ししたら目が覚めました。
手を動かしてみると、少し動いたので、ゆっくりと身体を動かし、車掌さんの部屋へたどり着き、
「体調が悪いので、少し休ませてもらえないでしょうか?」
「ベッドが既に使っている人がいるので、パイプ椅子で良ければ・・・」
体調不良の人が他にもいるようで、車掌室の端にパイプ椅子を出してもらい、そこで休ませてもらいました。
朝一から患者さんの予約が入っていたので、身体の力を振り絞って携帯を取り出し、治療室へ電話。
「ごめん、朝一の患者さんの予約までに行けそうにないから、連絡とってもらえないかな・・・」とスタッフ伝え、予約をキャンセルしてもらいました。(当日キャンセルしてしまったYさん、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした)
30分ほど車掌室で休んだのち、動けるようになったので、治療室に向かいました。とりあえず近くの内科で検査してもらい、「大丈夫でしょう」とのことだったので、午後は通常の診療を行いました。
熱中症の分類
病院でのガイドラインでは、熱中症の分類を以下のように定めているそうです。
・Ⅰ度:立ちくらみ、筋肉痛、こむら返り、大量の発汗
・Ⅱ度:頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感、集中力判断力の低下
・Ⅲ度:意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温
私は・・・Ⅲ度ですよね・・・(汗)
熱中症は喉が渇かない場合もある
今回驚いたのは、全く喉の渇きを感じなかったことです。
喉が渇いているのを我慢しすぎて熱中症になるのかと思っていたのですが、私の場合、全く喉の渇きを感じませんでした。
よくお年寄りは喉の渇きを感じないことがあると言われていますが、私の場合は風邪で体調を崩していたから体温調節がうまくいかなかったのでしょう。
お年寄りじゃなくても喉が渇かないことがあるんだなと実感しました。もし庭とかで倒れたら、本当に命の危険もあるなと思うと背筋が凍ります。
なんとなく「駅で倒れたら恥ずかしい・・・」という気持ちがよぎって、ちゃんとベンチに座ってしまったのですが、身の危険を感じたら、倒れてしまった方が良いですね。
多分駅で座っている私は、ただベンチで寝ているサラリーマンと思われて、だれも声をかけてくれないと思います。(実際には、座ってから、「これはまずい」と思って倒れようとした時には、もう手足が動かなかったんです・・・)
今回意識が戻ったから良かったですが、意識が戻らなかったらと思うと、本当に怖くなりました。
暑さの耐性リセット
NHKの番組で、「台風が来た時に気温が下がって、その後また急に暑くなった時が危険です」と言っていました。
それまで35℃などの猛暑に耐えていた身体が、台風の影響で気温が下がると、暑さへの耐性がリセットされてしまいます。
その後にまた暑い日が来ると、身体が暑さに耐えられなくなり、熱中症などになりやすくなるそうです。
まさに私は台風の2日後に熱中症になったので、これだなと納得しました。
熱中症の後も若干不調が続く
熱中症になった日は、なんとか残りの治療をこなしたのですが、なんとなく身体が重く、足のこむら返りになりそうな感覚が続きました。
たぶんまだ後遺症的なものが残っていたのですね。
その後数日、同じような状態が続きました。
そんな時に、やっておいた方が良いセルフケアを考えてみました。
熱中症のセルフケア
身体の中に溜まった熱を鎮め、身体を早く回復させてくれるセルフケアです。
(※鍼灸の専門家の方向けには、ページの最後に東洋医学的考え方と治療法も載せておきます)
・お腹を上から下へさする
みぞおちの辺りから、おへその下ぐらいまで、左右の手で交互に、上から下へ15~30秒ぐらい撫で下ろす。
・三陰交(さんいんこう)を押す
内踝(うちくるぶし)の上に手のひらを横に置いて、人差し指から小指までの長さ分上に上がったところで、骨のキワを押すと、痛みのあるところがあります。そこが三陰交(図の赤点の所)です。
ここを左右10回ずつ押して下さい。もしお灸を持っている方は、お灸をしても効果的です。
本当に熱中症には気を付けて下さい!
日本の夏は、近年異常な暑さになります。さらに8月から9月にかけては台風が多く日本にやってきます。
寒暖差も激しくなると思います。
暑さへの耐性がリセットされて、熱中症になりやすくなるのです。
今回、まさか自分が熱中症になるなんて思ってもみなかったので、びっくりです。
最近は屋外だけでなく屋内での熱中症が増えているそうです。喉の渇きを感じていないくても、水分補給はこまめにして、熱中症には充分気を付けて下さい。
今回のセルフケアは熱中症になった後にやるように考えましたが、熱中症予防にも効果的です。ぜひ毎日やってみて下さい!
※専門家向け 熱中症の治療法
今回せっかく熱中症になったので(笑)、治療法を調べてみました。江戸時代に書かれた『鍼灸要法指南』(岩田利斎著,1686年)に書かれていることを意訳してまとめると以下のようになります。
ーーー
中暑
暑さが人に害を与える時は、まず手の少陰心経と足の太陰脾経に入ってくる。
症状:身熱して、頭痛、口が乾き、顔は垢づき、嘔吐したり、下痢をしたり、手足は冷えもだえて、気を失う
随伴症状:
肝に入るとめまいがして、筋がひきつったり痺れたりする
脾に入ると昏睡して気を失う
肺に入ると喘満する
腎に入ると消渇する
これらは気虚がベースの時は瀉してはいけない
治療穴:巨闕(CV14)、上脘(CV13)、中脘(CV12)、天枢(ST25)、三陰交(SP6)
ーーー
『鍼法奇貨』(渡辺東伯著,1679年)では、「巨闕、上脘・中脘・天枢に鍼をして、心を涼しくして、身を温めることが重要だ」と書いています。
他の古典文献を見ても、似たような考え方で治療法が考えられており、心と脾胃を調整するのが目的の選穴と考えることができます。
東洋医学的には夏の暑さによる症状は脾胃が弱ることが大きな原因の一つであり、暑邪は心を犯します。
私が熱中症で動けなくなる前に巨闕~中脘あたりがモヤモヤ気持ち悪かったこと、そして、熱中症の後に三陰交から築賓あたりがつりそうになった事が何度もあったことを考えると、ぜひ試してみたい選穴です。
ただし、『鍼法奇貨』では「胸中発熱するものには、上脘に刺して吐瀉すべし」と書かかれており、上脘に治療する場合は吐法、瀉法に働く可能性もあるので患者さんの様子をみながら治療して下さい。
個人的な経験では、熱中症で倒れた人の治療を以前した時には、湧泉も効果がありました。
その時は鍼も灸も持っていなかったので、指圧をしたのですが、脈も落ち着き、意識がはっきりしてきました。
上記古典の治療法に合わせて、湧泉の治療も効果があると思いますので、ぜひ試してみて下さい。
表参道鍼灸マッサージ治療室 自然なからだ
電話番号 03-6419-7213
住所 〒107-0062 東京都港区南青山6-12-11 YUKEN南青山302
営業時間 火曜日~金曜日 11時~20時
(最終受付19時)土曜日 10時~19時(最終受付18時)
定休日 日曜日、月曜日、祝祭日
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