新着情報

新着情報

「熱中症になって分かったこと」院長の体験談とセルフケア方法

ブログ

院長の手塚です。

実は以前、私自身が熱中症になったことがあります。
医療人として「熱中症には気を付けてください」と伝える立場なのに、自分が体験して初めて分かったことが多くありました。
今回はその体験記と、回復や予防に役立つセルフケアをご紹介します。


熱中症の症状は怖い

前日から風邪気味で吐き気と頭痛があったのですが、少し楽になったので電車で職場に向かいました。
ところが途中で強い吐き気に襲われ、駅で降りた瞬間にめまいで立っていられなくなり、ベンチに倒れ込むように座り込みました。

やがて意識が遠のき、手足も動かず、声も出せない状態に。
冷や汗が流れ続け、「このまま意識が戻らなかったら」と、本当に恐怖を感じました。
幸い10〜15分ほどで意識が戻り、なんとか車掌室で休ませてもらい、事なきを得ましたが・・・。
後から考えると、これは熱中症の重症(Ⅲ度)に相当する状態だったのだと思います。


熱中症の分類(ガイドラインより)ーーー
Ⅰ度:立ちくらみ、筋肉痛、こむら返り、大量の発汗
Ⅱ度:頭痛、吐き気、倦怠感、判断力低下
Ⅲ度:意識障害、けいれん、運動障害、高体温
ーーー

私は明らかにⅢ度レベルでした。

喉が渇かなくても起こる

意外だったのは、全く喉の渇きを感じなかったことです。

熱中症は「喉が渇いているのに水を飲まないから起きる」と思っていましたが、実際にはそうとも限りません。

体調不良や高齢者では、喉の渇きを感じにくいことがあります。私の場合も風邪で体温調節が乱れていたのでしょう。

「喉が渇いていないから大丈夫」と思うのは危険です。


暑さの耐性はリセットされる

NHKでも紹介されていましたが、台風や雨で涼しくなった後、再び暑くなるタイミングが最も危険です。

それまで猛暑に慣れていた身体の耐性がリセットされ、熱中症になりやすくなります。私もまさに台風の2日後に発症しました。


熱中症の後も不調は続く

発症当日はなんとか仕事をしましたが、その後もしばらく体が重く、足がつりそうになる感覚が残りました。

熱中症は「一度回復したから終わり」ではなく、数日間は後遺症のような不調が続くこともあります。


セルフケア方法(予防にも有効)

熱を鎮め、体を回復させるセルフケアを2つ紹介します。


1. お腹をさする
みぞおちからおへその下までを、両手で交互に上から下へ15〜30秒ほど撫で下ろす。
→ 胃腸の働きを整え、体内の熱を落ち着かせます。





2. 三陰交(さんいんこう)を押す
内くるぶしから手のひら幅(指4本分)上にある骨際。強めに押すと痛む場所が「三陰交」です。
→ 左右それぞれ10回押しましょう。お灸をお持ちの方はお灸もおすすめです。



最後に

日本の夏は年々厳しく、台風や寒暖差も大きいため、誰でも熱中症になる危険があります。
私自身も「まさか自分が」と思っていたので、本当に驚きました。

屋内でも熱中症は起こります。喉の渇きを感じなくても、こまめに水分補給を心がけてください。
また、今回紹介したセルフケアは予防にも有効ですので、ぜひ日常的に取り入れてみてください。

どうぞ、皆さまも熱中症には十分お気を付けください。

ーーーーーーー

※専門家向け 熱中症の治療法

今回せっかく熱中症になったので(笑)、治療法を調べてみました。
江戸時代に書かれた『鍼灸要法指南』(岩田利斎著,1686年)に書かれていることを意訳してまとめると以下のようになります。

ーーー
中暑
暑さが人に害を与える時は、まず手の少陰心経と足の太陰脾経に入ってくる。
症状:身熱して、頭痛、口が乾き、顔は垢づき、嘔吐したり、下痢をしたり、手足は冷えもだえて、気を失う
随伴症状:
肝に入るとめまいがして、筋がひきつったり痺れたりする
脾に入ると昏睡して気を失う
肺に入ると喘満する
腎に入ると消渇する
これらは気虚がベースの時は瀉してはいけない
治療穴:巨闕(CV14)、上脘(CV13)、中脘(CV12)、天枢(ST25)、三陰交(SP6)
ーーー

 
『鍼法奇貨』(渡辺東伯著,1679年)では、

「巨闕、上脘・中脘・天枢に鍼をして、心を涼しくして、身を温めることが重要だ」と書いています。

 
他の古典文献を見ても、似たような考え方で治療法が考えられており、心と脾胃を調整するのが目的の選穴と考えることができます。

 
東洋医学的には夏の暑さによる症状は脾胃が弱ることが大きな原因の一つであり、暑邪は心を犯します。

 私が熱中症で動けなくなる前に巨闕~中脘あたりがモヤモヤ気持ち悪かったこと、そして、熱中症の後に三陰交から築賓あたりがつりそうになった事が何度もあったことを考えると、ぜひ試してみたい選穴です。

 
ただし、『鍼法奇貨』では「胸中発熱するものには、上脘に刺して吐瀉すべし」と書かかれており、上脘に治療する場合は吐法、瀉法に働く可能性もあるので患者さんの様子をみながら治療して下さい。


個人的な経験では、熱中症で倒れた人の治療を以前した時には、湧泉も効果がありました。

その時は鍼も灸も持っていなかったので、指圧をしたのですが、脈も落ち着き、意識がはっきりしてきました。

上記古典の治療法に合わせて、湧泉の治療も効果があると思いますので、ぜひ試してみて下さい。

  

■■―――――――――――――――――――――――――
表参道鍼灸マッサージ治療室 自然なからだ
電話番号 03-6419-7213
住所 〒107-0062 東京都港区南青山6-12-11 YUKEN南青山302
営業時間 火曜日~金曜日 11時~20時
(最終受付19時)土曜日 10時~19時(最終受付18時)
定休日 日曜日、月曜日、祝祭日
―――――――――――――――――――――――――■■

PDFはこちら